大飛島遺跡から見た瀬戸内の古代

阿部氏治世期福山藩徴租法の探求

尾道市立大学名誉教授 勝矢 倫生 

 私はこれまでほぼ35年間にわたり、徳川期芸備地域の地方書の研究に取り組んできました。初期の20年間、広島藩の地方書研究に取り組んだ後は、もっぱら福山藩の地方書研究に没頭してきました。地方書(じかたしょ)とは、天領あるいは諸藩の地方役人や庄屋などの村役人によって、農政を進め、農村を治めるための指導書あるいは実務マニュアルとして活用されることをめざして記された著書のことを言います。地方書は、租税徴収法のほか、農村支配・農村生活全般に及ぶ多彩な内容を含む、徳川期の農政・農村の実状を探る上できわめて貴重な研究素材です。

 今度の講演では、福山藩の地方書「郷中覚帳」を中心に、「郡中町方明細記」など他の地方書も併せて解析することを通して、阿部氏治世期福山藩における水田稲作に対する租税徴収の仕組みについてお話しさせていただきます。福山藩では、水野氏・松平氏時代には、徴租法として検見制が採用されていましたが、阿部氏は土免制を採用しました。土免制の下で年々の年貢率は固定されましたが、凶作年度に限り、農民は申請すれば検見見分を受け、一定の引高が認められ、年貢を減免してもらうことができました。また、水害・旱魃などで皆損、つまり稲が壊滅状態になった時、一毛荒(ひとげあれ)の申請を行ない、藩役人の見分を受け、許可されれば年貢の丸引きが認められました。一村坪入検見から人別作平均検見へ、さらに相対検見へ、凶作年度に実施される検見の仕法にも推移がみられました。

 福山藩では、米作以外に綿作・藺作・麦作・稗作など多様な作物作付けについてそれぞれきわめて精緻な徴租法が構築されていました。福山藩の地方書研究を進めた結果、これまでほとんど研究が進んでいなかったそれらの諸作物に対する徴租法をかなり詳細に明らかにすることができました。今度の講演では、米作に対する年貢徴収法に絞って、その仕組みをなるべく平易に噛み砕いてお話しさせていただくつもりです。備陽史探訪の会の皆様にお目にかかれる時を楽しみにしております。

募集要項

開催日 1月24日(土)
時間 午後1時30分~
場所 福備後遺族会館(福山市丸之内町)
参加費 無料
講師 勝矢倫生氏(尾道市立大学名誉教授)
申込方法 事前申込不要。直接会場で受付いたします。

※公演終了後、備陽史探訪の会総会および新年会を行います。

行事に関するご質問などは「お問い合わせフォーム」より、お問い合わせください。

 

【備後遺族会館】

大きな地図で見る