暮家爺山城探訪の心構え(準備物と注意事項)

備陽史探訪:150号」より

末森 清司

「綣鈎史跡探訪記」(2)

 
現在、私の山城探訪は単独行です。

滋賀県大津では同行する友が居ない為一人で気楽に自由勝手に行動している。

五〇代までの山城探訪と違って七〇代に入ると体力、気力が衰え行動に制限がある。

今回は七十一才の私が実行している山城探訪の心得を述べてみる。

*常に準備してあるもの

(リュックサック又は車に積んで用意してあるもの)

①ロープ (木に結びつけて下り登りに利用する命綱)
山上の曲輪から下の腰曲輪、高い土塁、空堀、堀切、削崖斜面の下り登りに利用。転げ落ちたり滑り落ちたりして怪我と事故の予防となり助かった事は度々ある。

②ビニール紐 通った場所の目印
山城は場所によっては、雑木、雑竹、雑草が思った以上茂り視界が判らなくなる。又、似たような地形(遺構)も多くあり探索しているうちに山の中で迷う事も多い。

その用心の為に十m又は五m度に目印として木にビニール紐を結びつけておく。時には数字(番号)をマジックペンで書き込む事もある。

これを実行してから勝手気ままに遺構を探索途中で迷う事は無くなった。私は黄色のビニール紐を使用している。

③手袋、手の保護用、必ず着用
軍手のすべり止めのついたタイプ、予備として2セットはリュックに納めてある。

④雨具、俄雨、雷雨の場合
折りたたみ傘とビニール合羽は必要。雨に濡れて着替えの無い時は風邪をひく。「風邪は万病の素」気を付ける。

⑤積雪用長靴
整備された山城史跡公園等では登山靴、ウォーキングシューズでも良いが山城探訪では雑木、雑草の中を歩き回る事が多い。又、空堀、堀切、犬走りを歩いていると落葉、腐葉土が厚く積り足がめり込む位深い所もある。長靴の場合気にせず歩けるし蛇の予防にもなる。

家内が一人歩きは長靴が絶対安全だと言って山城歩きには必ず履くとの条件だった。格好悪くて重くて歩きにくく嫌々だった。

早朝探訪した折雑草が夜露で膝下はびっしょり靴下まで濡れて散々な目に遭って長靴に履き替えて山城探訪した折、思った以上楽で足元の濡れを心配することなくどこでも歩ける。今では家内に感謝している。
余談だが、長靴を履く時は布厚の靴下又は毛糸の靴下が足を痛めず冬等は保温性があり良いようです。

⑥杖 「転ばぬ先の杖」
今、愛用しているのは北海道城跡探訪で見学した「国史蹟・中世山城館跡、「上ノ山勝山館」の資料館の館長さんに記念に戴いた手作りの杖。杖の木の名称は忘れたが、練り強く折れない。手によく馴染み使い易いので重宝している。

⑦外用薬 「備えあれば憂いなし」
一寸した怪我等の応急処置用。

湿布薬、傷薬(軟膏)、包帯、医療用テープ、バンドエイド、セイロガン(水あたり、食あたり、下痢に結構役立つ)。日頃常用している薬は必ず持参する事。私の場合は血圧安定薬等は絶対必要。

*出発前に用意して持っていくもの

①非常用食料品
(単独行、何が生じるか判らないので用心の為)。弁当以外に持参する事。  チーズ、ソーセージ、豆菓子、チョコレート、クラッカー、飴、梅干。

何だか酒のつまみ中心だな。一人山城探訪は酒類持参禁止。

飲酒運転禁止。安全運転実行!

②地図、山城の地形図(城郭図)
案内地図入りパンフレットや、県・市が発行している「埋蔵文化財分布地図」が便利。城郭や史跡等が記され位置が判り易い。目的地周辺は拡大コピーしてより見易くする。

③コンパス(方向指示用磁石)
必ず持参する事。城跡での遺構の方向を見たり、道に迷った時に地図と照らし合わせて利用する。地図の見方の勉強にもなる。

④服装 必ず長袖着用
私は長年着慣れた作業衣(つなぎ服)を着用している。仕事をしていた時からの動き易さ、歩き易さが自然と身についたのだろう。又、作業衣を着ると気分がシャンとする。不思議な事よ。

余談。汗をかく事が多く下着は2~3枚用意する。汗で濡れた下着をそのまま着ていると寒い折は体が冷えて風邪をひく事もある。要注意。

冬期は防寒ジャンバー等の防寒衣は必要。

⑤帽子 頭の保護
私は長年着用している作業帽を愛用。頭に馴染み作業服同様気分を引き締める。又、タオル等を首に巻くのも良い。露出部分の首の保護。

⑥携帯電話とラジオ
一人で行動しているので必ず持参。緊急時の連絡に必要。山中電波が通じない所もあるが私が行動した城跡は大体通じたようです。

ラジオは私の場合獣除け。音の出る鈴等も良いとの事。鹿と猿は良く出会う。熊、猪は幸い出会ってないが何となく気配は感じたが逃げてくれたらしい。最近は蛇も逃げてくれるらしく出会わない。

移動の車の安全は当り前だが、山城に入ると一段気分を引き締めて絶対無理をしない事。折角時間をかけて来たのだからどうしても探索したいと思って無理して山城に入ると思わぬ怪我や事故をする事もある。引き返す勇気も必要。

私は夜明けと共に家を出る。「早起きは三文の得」を実行。交通渋滞にも会わず目的地に早く着く。ゆっくり時間をかけて探索できるし、里の人達と話も出来る。

秋冬は午後三時には山城は出る事。日暮れが早い。足元が明るいうちに山を下りる事は大事なこと。

すべて用心にこした事はない。

以上私の山城探訪一人歩きの心構えのひとくさり。唯今実行中!

補記

山城は登りより下りがきつい。特に秋以後は落葉で足をすべらす事が多い。しっかり足をふみ杖を上手に使って一歩一歩下る事。

遺構を観て満足してうわついた時は特に注意!

https://bingo-history.net/wp-content/uploads/2013/03/f459b568df5fb97700ed7e77ab4aab0f.jpghttps://bingo-history.net/wp-content/uploads/2013/03/f459b568df5fb97700ed7e77ab4aab0f-150x100.jpg管理人紀行・随筆備陽史探訪「備陽史探訪:150号」より 末森 清司 「綣鈎史跡探訪記」(2)  現在、私の山城探訪は単独行です。 滋賀県大津では同行する友が居ない為一人で気楽に自由勝手に行動している。 五〇代までの山城探訪と違って七〇代に入ると体力、気力が衰え行動に制限がある。 今回は七十一才の私が実行している山城探訪の心得を述べてみる。 *常に準備してあるもの (リュックサック又は車に積んで用意してあるもの) ①ロープ (木に結びつけて下り登りに利用する命綱) 山上の曲輪から下の腰曲輪、高い土塁、空堀、堀切、削崖斜面の下り登りに利用。転げ落ちたり滑り落ちたりして怪我と事故の予防となり助かった事は度々ある。 ②ビニール紐 通った場所の目印 山城は場所によっては、雑木、雑竹、雑草が思った以上茂り視界が判らなくなる。又、似たような地形(遺構)も多くあり探索しているうちに山の中で迷う事も多い。 その用心の為に十m又は五m度に目印として木にビニール紐を結びつけておく。時には数字(番号)をマジックペンで書き込む事もある。 これを実行してから勝手気ままに遺構を探索途中で迷う事は無くなった。私は黄色のビニール紐を使用している。 ③手袋、手の保護用、必ず着用 軍手のすべり止めのついたタイプ、予備として2セットはリュックに納めてある。 ④雨具、俄雨、雷雨の場合 折りたたみ傘とビニール合羽は必要。雨に濡れて着替えの無い時は風邪をひく。「風邪は万病の素」気を付ける。 ⑤積雪用長靴 整備された山城史跡公園等では登山靴、ウォーキングシューズでも良いが山城探訪では雑木、雑草の中を歩き回る事が多い。又、空堀、堀切、犬走りを歩いていると落葉、腐葉土が厚く積り足がめり込む位深い所もある。長靴の場合気にせず歩けるし蛇の予防にもなる。 家内が一人歩きは長靴が絶対安全だと言って山城歩きには必ず履くとの条件だった。格好悪くて重くて歩きにくく嫌々だった。 早朝探訪した折雑草が夜露で膝下はびっしょり靴下まで濡れて散々な目に遭って長靴に履き替えて山城探訪した折、思った以上楽で足元の濡れを心配することなくどこでも歩ける。今では家内に感謝している。 余談だが、長靴を履く時は布厚の靴下又は毛糸の靴下が足を痛めず冬等は保温性があり良いようです。 ⑥杖 「転ばぬ先の杖」 今、愛用しているのは北海道城跡探訪で見学した「国史蹟・中世山城館跡、「上ノ山勝山館」の資料館の館長さんに記念に戴いた手作りの杖。杖の木の名称は忘れたが、練り強く折れない。手によく馴染み使い易いので重宝している。 ⑦外用薬 「備えあれば憂いなし」 一寸した怪我等の応急処置用。 湿布薬、傷薬(軟膏)、包帯、医療用テープ、バンドエイド、セイロガン(水あたり、食あたり、下痢に結構役立つ)。日頃常用している薬は必ず持参する事。私の場合は血圧安定薬等は絶対必要。 *出発前に用意して持っていくもの ①非常用食料品 (単独行、何が生じるか判らないので用心の為)。弁当以外に持参する事。  チーズ、ソーセージ、豆菓子、チョコレート、クラッカー、飴、梅干。 何だか酒のつまみ中心だな。一人山城探訪は酒類持参禁止。 飲酒運転禁止。安全運転実行! ②地図、山城の地形図(城郭図) 案内地図入りパンフレットや、県・市が発行している「埋蔵文化財分布地図」が便利。城郭や史跡等が記され位置が判り易い。目的地周辺は拡大コピーしてより見易くする。 ③コンパス(方向指示用磁石) 必ず持参する事。城跡での遺構の方向を見たり、道に迷った時に地図と照らし合わせて利用する。地図の見方の勉強にもなる。 ④服装 必ず長袖着用 私は長年着慣れた作業衣(つなぎ服)を着用している。仕事をしていた時からの動き易さ、歩き易さが自然と身についたのだろう。又、作業衣を着ると気分がシャンとする。不思議な事よ。 余談。汗をかく事が多く下着は2~3枚用意する。汗で濡れた下着をそのまま着ていると寒い折は体が冷えて風邪をひく事もある。要注意。 冬期は防寒ジャンバー等の防寒衣は必要。 ⑤帽子 頭の保護 私は長年着用している作業帽を愛用。頭に馴染み作業服同様気分を引き締める。又、タオル等を首に巻くのも良い。露出部分の首の保護。 ⑥携帯電話とラジオ 一人で行動しているので必ず持参。緊急時の連絡に必要。山中電波が通じない所もあるが私が行動した城跡は大体通じたようです。 ラジオは私の場合獣除け。音の出る鈴等も良いとの事。鹿と猿は良く出会う。熊、猪は幸い出会ってないが何となく気配は感じたが逃げてくれたらしい。最近は蛇も逃げてくれるらしく出会わない。 移動の車の安全は当り前だが、山城に入ると一段気分を引き締めて絶対無理をしない事。折角時間をかけて来たのだからどうしても探索したいと思って無理して山城に入ると思わぬ怪我や事故をする事もある。引き返す勇気も必要。 私は夜明けと共に家を出る。「早起きは三文の得」を実行。交通渋滞にも会わず目的地に早く着く。ゆっくり時間をかけて探索できるし、里の人達と話も出来る。 秋冬は午後三時には山城は出る事。日暮れが早い。足元が明るいうちに山を下りる事は大事なこと。 すべて用心にこした事はない。 以上私の山城探訪一人歩きの心構えのひとくさり。唯今実行中! 補記 山城は登りより下りがきつい。特に秋以後は落葉で足をすべらす事が多い。しっかり足をふみ杖を上手に使って一歩一歩下る事。 遺構を観て満足してうわついた時は特に注意!備後地方(広島県福山市)を中心に地域の歴史を研究する歴史愛好の集い