2012年02月01日

銀山城の語源(福山市山手町・語源は「しろがみね」か?)

備陽史探訪:164号」より

根岸 尚克

鉱物資源の遺名を集めている。精錬施設や鉱山の名称等。その過程で銀を産出した跡も見当たらないのに銀山の名を負う山城がある。杉原氏の居城として知られる福山市山手町の銀山城(ぎんざんじょう)である。銀を産出していないのに何故銀山なのか。語源を考えてみた。結論から言えばこの山は初めは「城ガ峰(しろがみね)」ではなかろうか。

思うに山と言ってもその形状により色々な呼び方がある。三角形や台形のものは、低いものは山(やま)、高いものは山(さん・せん)。四国の飯野山、宮島の弥山(みせん)、大山(だいせん)。頂上がぎざぎざになっていたり、いびつな形、或いは絶壁等を伴なうものは「岳(たけ)」。山口県の三倉岳、槍が岳、府中市の岳山。頂上が長く連なるものは「峰(みね)・峯(みね)・嶺(みね)」。奈良県吉野郡の金峯山(きんぶせん(さん))、同じく大峰山(おおみねさん)。又、頂上が長く連なるものは複数の呼び方をする場合がある。福山市の蔵王山の如きは、東の頂上部を蔵王山、中央部を阿弥陀が峰、西を炭焼きが鼻。前述の大峰山も、弥山、釈迦が岳、山上が岳、仏経が岳と複数の呼び名を持っている。

所で地名辞典で銀山の地名は、山形県尾花沢市の「銀山温泉」がある。ここは幕府直轄の銀山のあった所。又、福島、新潟両県の境に「銀山湖」があるが、之も古くは銀山のあった処。「大森銀山」「生野銀山」もそうである。因みに前述の金峰山も鉱物資源の存在を意味している。然し銀山城ではその痕跡は全く無い。そこで銀山城のある一帯に目を転じる。南には熊野神社の鎮座する熊が峰。西には会報百三十三号で紹介された長峰。ここにも山城があり、山城を主眼とする時は長峰城と呼ぶ。そして銀山城も山城のある山なので城が峰(しろがみね)と呼ばれたのでは無かろうか。三つの山は頂上が連なっているので峰と呼ばれるのに相応しい山様である。

シロガミネと発音される様になり、そのうち原義が忘れられ銀(しろがね)の字が充てられると同時に、語呂の関係で山が付いて、(シロガネだけでは意味も不明であるので)銀山(しろがねやま)と呼ばれた。そして多くの例がある様に、訓音の転化により銀山と呼ばれ、固定的な呼び方となったものであろう。そして山城を主眼として呼ぶ時は銀山城と言ったのである。之は長峰、長峰城の場合も同様であろう。